お客様のオーダーから始まる、一枚のテーブルの物語
本日は、ブラックウォルナットのレジンテーブルをご検討いただいているお客様のために、色味と質感を確認いただくためのサンプル制作を行いました。
今回のリクエストは「ラメ入りのブルー系レジン」。
深海のような青、浅瀬のようなエメラルド、そして夜空を思わせるラメの煌めき——同じブルーでも無限の表情があります。
お客様の理想の色合いを正確に再現するため、まずは6種類の異なるレジンカラーを小さなモールドで試作しました。
サイズは石鹸ほどの小さなものですが、ここに詰まっているのは職人の感覚と経験、そしてお客様の理想を形にするための小さな実験の積み重ねです。
シリコンモールドでの試作工程
木とレジン、それぞれの相性を確かめる
まずは、レジンテーブルに使用するブラックウォルナットの木片をモールドの底にセットします。
この木材は、テーブルとして実際に使用予定の材と同じロットから切り出したもの。
つまり、色味や木目、含水率までも本番と同条件。
試作で得られるデータが、そのまま本制作の参考になります。
次に、調色したレジンを慎重に注ぎます。
今回は、6色の異なるパターンを試しました。
ラメの粒子径や混ぜ方、撹拌時間、注入スピードによっても見た目はまったく異なります。
とくに今回のように透明度を重視する場合、温度や湿度の管理が仕上がりを左右するため、細心の注意を払いました。
ラメがつくり出す“深さ”と“動き”
光を閉じ込める、液体のキャンバス
レジンが硬化する前、わずかに粘度が増してきたタイミングで、表面のラメがふわりと沈み始めます。
この瞬間に「奥行き」が生まれるのです。
表層に浮かぶラメは波の反射のように光を返し、下層に沈んだラメは光の層を重ねて奥行きを演出します。
硬化後に光を当てると、ブルーの層の中でラメが静かにきらめき、角度によって印象が変化。
実際に照明の種類や昼夜の自然光で色の見え方が大きく変わるため、実物サンプルを見ていただくことの重要性を改めて感じます。
試作だからこそ見える課題と可能性
小さな失敗が大きな成功をつくる
今回の6種類のうち、いくつかには小さな気泡が残りました。
原因はレジンを注ぐ速度と粘度のバランス、そして撹拌時の空気混入です。
この段階で気づけたことが、本番の制作では大きなアドバンテージになります。
また、色の濃度や透明度の差によって、ブラックウォルナットとのコントラストの出方も大きく異なりました。
濃いブルーでは木目がより深く浮かび上がり、淡いブルーでは光の反射が柔らかく、優しい印象になります。お客様の求める“空間に馴染むブルー”を探るうえで、この比較は非常に有効です。
レジンテーブル制作における「色」の哲学
一色を選ぶということは、物語を選ぶということ
レジンのカラーは単なる見た目ではなく、空間全体の印象を決める要素です。
たとえば、同じブルーでも「海のような深さ」を求めるのか、「透明感のある爽やかさ」を求めるのかによって、選ぶ顔料もラメも異なります。
私たちエコロキアでは、そうした微妙なニュアンスを大切にしながら、お客様一人ひとりの理想の色を一緒に探していきます。
今回のサンプル制作を終えて
今回の試作では、6種類すべてに異なる魅力が生まれました。
どれもラメの光沢が光の加減で表情を変え、ブラックウォルナットの濃い杢目との相性が抜群でした。また、グリーンブルー系は自然光の下で特に美しく、柔らかい日差しの中でまるで波打つように輝きました。
これらのサンプルは、お客様に実際に手に取っていただき、照明環境や角度を変えてご覧いただけるようご用意します。
「想像していた以上に綺麗」「この色が理想に近い」——そんな瞬間が、私たちの何よりの喜びです。
小さな試作が大きな感動を生む
ブラックウォルナットの豊かな表情と、ラメ入りブルーの透明感。
この組み合わせは、どこか神秘的で、見る人の心を穏やかにしてくれます。テーブルという実用品でありながら、まるでアート作品のような存在感。それを実現するための一歩が、今回のこの小さなサンプル制作でした。
エコロキアでは、こうした色実験・素材研究・試作工程を通じて、お客様が思い描く理想のテーブルを形にしています。どんな色がご希望でも、まずはお気軽にご相談ください。
ひとつひとつのテーブルが、世界にひとつだけの作品として生まれるよう、心を込めて制作いたします。







