岐阜県からレジンテーブル制作体験ワークショップにお越しいただいたお客様のダイニングテーブル制作が、いよいよ佳境を迎えています。
素材はポプラの一枚板。そこにゴールド系のレジンを組み合わせ、表面まで完全にレジンで覆う「フルカバー仕上げ」で仕上げていく一台です。
一見すると華やかでシンプルに見える仕上げですが、実はこの工程こそ、レジンテーブル制作の中でも最も地味で、最も差が出る部分でもあります。
フルカバー仕上げは「上まで流せば完成」ではない
フルカバー仕上げとは何か
フルカバー仕上げとは、木材とレジンの段差をなくし、天板表面を完全にレジンで覆う仕上げ方法です。見た目はガラスのように滑らかで、レジンの透明感や色味を最大限に活かすことができるため、レジンテーブルらしさを強く感じられる仕上げでもあります。
しかしこの仕上げ方法は、「最後にレジンを上まで流せば完成」という単純なものではありません。むしろ、ここからが本当の意味での制作のスタートだと言っても過言ではありません。
木材から必ず発生する「気泡」という問題
レジンを木材の表面に塗布すると、必ずと言っていいほど木の内部から気泡が発生します。
これは木材が多孔質であり、内部に空気を含んでいる素材だからです。
バーナーで表面をさっと炙ると、その場の気泡は消えます。
しかし問題はその後です。
数時間後、翌日、さらに数日後と、時間をかけてポツポツと新たな気泡が表面に現れてきます。
この現象は、どんなに経験を積んでも完全に防ぐことはできません。つまりフルカバー仕上げでは、「気泡が出ることを前提にした工程設計」が必要になるのです。
なぜ一気にレジンを流さないのか
レジンを少しずつ重ねる理由
今回の制作では、あえて一気にレジンを厚く流し込むことはしていません。レジンを薄く流し、固め、表面を削り、再びレジンを流す。この工程を何度も繰り返しています。
理由は明確です。
一度に厚く流してしまうと、内部で発生した気泡が逃げ場を失い、そのまま固まってしまうからです。後から表面だけを研磨しても、内部に閉じ込められた気泡は消えません。
「削る→流す」を繰り返す意味
固まったレジン表面をサンダーで削ると、内部に残った気泡が露出します。

バーナーで消せるのは一時的なもの。数日かけて現れる気泡を前提に、固まったレジンを削り、また流す
──この地味な繰り返しこそが、フルカバー仕上げの完成度を左右します。
「ただ流すだけでは終わらない」のが、レジンテーブルづくりの奥深さです。
そこで再度レジンを流し込み、気泡を埋めていく。
この地味な作業の積み重ねによって、初めて透明度の高いフルカバー仕上げが実現します。
見た目にはまったく映えない工程ですが、この作業を省くかどうかで、完成後の数年、数十年の美しさに大きな差が出ます。
ポプラという素材だからこそ求められる慎重さ
ポプラ材の特徴とレジンとの相性
ポプラは瘤(こぶ)やうねりのある木目が特徴的で、レジンと組み合わせることで非常に表情豊かな天板になります。一方で、柔らかく導管が不均一なため、気泡が出やすい素材でもあります。
そのためポプラのフルカバー仕上げでは、
- 流し込み量
- 硬化時間
- 削りの深さ
これらを慎重に見極める必要があります。
ゴールドレジンだからこそ妥協できない理由
今回使用しているゴールド系のレジンは、光の反射や層の重なりによって表情が大きく変わります。気泡が残った状態で仕上げてしまうと、ゴールドの美しさよりも粗が目立ってしまいます。
「遠目ではきれい」ではなく「近くで見ても、触っても美しい」状態を目指すために、あえて時間と手間をかけた工程を選択しています。
レジンテーブル制作体験で伝えたいこと
映える工程より、映えない工程が大切
レジンテーブルというと色付きレジンを流し込むシーンばかりが注目されがちです。
確かにあの瞬間は華やかで、制作体験としても盛り上がります。
しかし実際の完成度を左右するのは、その前後にある地味な作業です。
削る、確認する、また流す。
この繰り返しを丁寧に行えるかどうかが、作品としての質を決めます。
「作れる」ではなく「仕上がる」を体験する
エコロキアのレジンテーブル制作体験では単に「レジンテーブルを作った」という体験で終わらせません。
なぜこの工程が必要なのか、どこを省くと、どんな不具合が起きるのか…自分でできる範囲と、プロの判断が必要な部分はどこなのか。
そういった境界線まで含めて体験していただくことを大切にしています。
よくある質問
- Qレジンテーブルのフルカバー仕上げは誰でもできますか?
- A
結論から言うと、作業自体は可能ですが、安定した仕上がりを出すには経験が必要です。特に気泡処理や削りの判断は失敗が起きやすく、制作体験で一度流れを理解することをおすすめします。
- Qゴールドレジンは変色しますか?
- A
使用するレジンや着色材によりますが、適切な材料と工程を守れば大きな変色は起こりにくいです。
- Qフルカバー仕上げは割れやすくなりませんか?
- A
正しい厚みと下地処理を行えば、割れのリスクは抑えられます。無理な厚盛りが最も危険です。
