新入社員とアトリエで過ごす一日
本日は奈良県御所市にあるエコロキアのアトリエにて、新入社員とともに作業を行いました。日頃はレジンテーブル制作体験ワークショップとして多くのお客様をお迎えし、個性豊かな作品が次々と生まれている場所ですが、今回は少し趣向を変え、自社で保管していた未完成のレジンテーブルを仕上げることに。
アトリエの棚には、制作途中のまま止まってしまった作品がいくつか眠っています。その理由は、スペースの制約や人員不足など実務的な要因もありますが、逆にいえば新しい人材と一緒に作業する絶好の教材ともいえる存在です。今回はその中から、ブラックウォルナットをセンターに配し、両サイドにグレーのレジンを流し込んだ正方形のレジンテーブルを選びました。
荒削りから始まる共同作業
紙やすりの番手を上げるごとに見える変化
選んだテーブルは厚み3cmほど。スリムでスタイリッシュな印象があり、インテリアとしても映える存在感を持っていましたが、荒削りの手前で放置されていたため表面はまだ曇りがかり、素材本来の美しさは隠れたまま。

新入社員とともに手に取ったのはランダムサンダー。まずは粗い番手のペーパーを装着し、レジンと木の境界を滑らかに整えながら全体を削っていきます。回転するサンダーの振動に最初は少し戸惑いを見せていた彼も、徐々に慣れていき、サンダーの動きとリズムに呼吸を合わせていく姿が印象的でした。

「どんどん透明度が上がっていきますね」
そんな一言が彼の口からこぼれたとき、僕自身も初心を思い出しました。ものづくりにおいて、手をかけた分だけ成果が目に見えることは、誰にとっても心を動かす瞬間なのです。
チームビルディングとしての研磨作業
作業の中で自然に生まれる会話
研磨という単純でありながら集中力を要する作業は、不思議なことに人と人との距離を縮める力を持っています。
最初は緊張した面持ちで無言だった新入社員も、サンダーを動かしながら少しずつ話題を広げてくれるようになりました。研磨の進捗や削り加減を確認し合うやり取りから始まり、気づけば趣味や学生時代の話まで飛び出してきます。
ものづくりの現場は、ただ完成品を生み出すだけの場所ではありません。むしろ、時間を共有し、試行錯誤を共にすることで、人と人との間に信頼関係や安心感が芽生える場でもあります。この日の研磨作業は、まさにそのことを実感させてくれるものでした。
磨き上げられたブラックウォルナットの美
木とレジンが調和する瞬間
番手を細かく上げていくごとに、ブラックウォルナットの木目は艶やかさを増し、レジン部分は曇りガラスのような表情からクリアな透明感へと変化していきます。

とりわけ、ウォルナット特有の濃淡が織りなす木目は、光を浴びることで立体的に浮かび上がり、シンプルでありながら圧倒的な存在感を放ちます。その横でグレーのレジンは落ち着いた雰囲気を添え、全体のデザインを引き締める役割を果たしていました。
完成したテーブルを眺める新入社員の顔には、達成感と安堵の表情が浮かんでいました。おそらく彼にとっては、単なる作業以上の体験になったはずです。

仕上げを通じて得た学び
チームの距離を縮める「ものづくり」
この日の体験を振り返ると、単に放置していたテーブルを完成させただけではありませんでした。むしろ大きな成果は、新入社員が自らの手で作品を仕上げる過程を体感し、僕自身も彼の人となりを知るきっかけとなったことです。
会社におけるチームビルディングというと、ワークショップや研修、飲み会などが一般的に想起されます。しかし、ものづくりの現場で共に汗を流し、一つの完成を目指すことこそ、最も自然で意義のある「共創の場」ではないでしょうか。
今後、彼がこの体験を糧にさらに成長していくことを願いながら、また次の作品づくりに取りかかりたいと思います。
磨きの過程に重なる人との距離感
ブラックウォルナットとグレーのレジンを組み合わせた正方形のテーブルは、ただの家具ではなく、僕と新入社員が共有した時間と学びの象徴となりました。
荒削りから始まり、少しずつ磨き上げて完成に至るまでの過程は、まるで人間関係そのもののようです。最初はぎこちなくても、時間をかけて丁寧に向き合うことで、やがて輝きを放つ瞬間が訪れる。そんな大切な気づきを与えてくれる一日でした。



