雨晴海岸の夕景を描いた作品が、次の工程へ進む
波を描いて終わりではない、レジンテーブル制作体験
前回の制作体験では、福井県・雨晴海岸の夕景をモチーフに、深いブルーの海と白い波をレジンで描きました。夕陽の赤や紫を重ね、「海を作る」のではなく「風景を作る」ことを意識した工程です。
しかし、レジンテーブル制作体験は、レジンを流して終わりではありません。
むしろ、型枠から外してからが、本当の意味での“仕上げ”の始まりです。今回の工程は、その重要な研磨作業。描いた風景を壊さず、作品として成立させるための工程に入ります。
型枠を外した瞬間に見えてくる課題
型枠を外すと、レジンと木の段差、側面の荒れ、表面のわずかなうねりがはっきりと見えてきます。これは失敗ではなく、必ず生じるものです。
重要なのは、ここからどう整えていくか。研磨工程は「きれいにする作業」ではなく、「余分なものを取り除き、残すべきものを残す作業」だと考えています。
研磨しているのは、制作体験の受講者さん本人
プロがやる工程を、あえて自分の手で
今回の研磨を行っているのは、制作体験の受講者さんご本人です。エコロキアの制作体験では、危険がなく、再現性のある工程については、できる限り受講者さん自身に手を動かしていただきます。なぜなら、「自分で仕上げた」という実感が、作品への理解と愛着を大きく変えるからです。プロが仕上げたものを受け取るのと、自分の判断で仕上げたものでは、完成後の見え方がまったく違います。
研磨は“削る作業”ではなく“判断の連続”
研磨と聞くと、単に削って平らにする作業を想像されがちです。

研磨を行っているのは制作体験の受講者さんご本人。
レジンと木の段差を少しずつ整えながら、風景を“作品”として仕上げていく大切な時間です。
しかし実際は、「どこまで削るか」「どこは触らないか」を判断し続ける工程です。特に今回のように、夕景のグラデーションや白波の立体感を表現している場合、削りすぎると一瞬で風景が崩れてしまいます。研磨は、技術よりも“止める勇気”が求められる工程です。
研磨工程で大切にしている3つの判断基準
① レジンと木の段差を消すことが目的ではない
研磨の目的は、段差を完全に消すことではありません。段差を消そうとして削りすぎると、波の厚みや奥行きが失われます。あくまで「触って違和感がないレベル」まで整えることを目標にします。視覚だけでなく、手触りで確認することが重要です。
② 側面と厚みも“風景の一部”として考える
表面ばかりに意識が向きがちですが、側面や厚みも作品の一部です。横から見たときに、レジンの層や色の重なりがどう見えるか。

側面や厚みも確認しながら、全体のバランスを整えていきます。
夕景のグラデーションや波の立体感を壊さないよう、削りすぎず、残すべき部分は残す。その判断も、制作体験の中で少しずつ身についていきます。
そこまで意識して研磨することで、テーブル全体の完成度が大きく変わります。今回も、受講者さんと一緒に側面の表情を確認しながら作業を進めました。
なぜ「初めてでも」研磨までできるのか
工程を分解し、失敗しにくく設計している
初めての方でも研磨まで進める理由は、特別な才能があるからではありません。制作体験では、
- 使用する道具を限定する
- 研磨番手の順序を固定する
- 削ってはいけないポイントを事前に共有する
といったように、失敗しにくい設計をしています。結果として、「怖くて触れない工程」を減らしています。
正解を押し付けず、判断軸だけを伝える
研磨に「唯一の正解」はありません。大切なのは、受講者さん自身が「これでいい」と納得できるかどうかです。講師は完成形を押し付けるのではなく、判断の軸だけをお伝えします。その軸があることで、自分の作品として責任を持って仕上げることができます。
研磨を終えたとき、作品は“記憶”になる
「作った」ではなく「積み重ねた」という実感
研磨工程を終えた受講者さんからよく聞く言葉があります。
それは、「作ったというより、積み重ねた感じがする」という感想です。波を描き、色を重ね、削り、整える。その一つひとつの工程が、作品の中に残っています。この実感こそが、制作体験の最大の価値だと考えています。
完成品以上に残るもの
最終的に完成するのはレジンテーブルですが、手元に残るのはそれだけではありません。「自分にもできた」「考えながら作るのは楽しい」という感覚は、日常のものづくりや暮らし方にも影響します。エコロキアが制作体験で大切にしているのは、その感覚そのものです。

