大雪の日でも止めないレジンテーブル制作──寒さと向き合いながら進める御所市アトリエの一日

両耳付きのチェスナット材を使い、木枠を使わずに養生とマスキングでレジン流し込みの準備をしている制作途中のレジンテーブル。 制作風景
このチェスナットのレジンテーブルは、両耳付きで仕上げるため一般的な木枠を使わず、養生とマスキングを工夫した特殊な方法で制作しています。耳のラインをそのまま活かす分、レジンの流れや漏れの管理がシビアになり、段取りと下準備が仕上がりを大きく左右します。

予定していたレジンテーブル製作体験ワークショップは、大雪の影響でやむなく中止となりました。しかしすでにご注文をいただいているオーダー作品の制作は止めることができません。
神戸では雪もすっかりやんでいたため大丈夫だろうと考えていましたが、現実はそう甘くありませんでした。
この日は「冬のレジン制作」という、普段はあまり語られない現場のリアルが詰まった一日になりました。

雪の日でもアトリエに向かう理由

オーダー制作は天候待ちができない仕事

レジンテーブルの制作は、単にレジンを流せば完成するものではありません。
すでに工程が進んでいる作品が複数あり、それぞれに「次の作業を行うべきタイミング」が存在します。
このタイミングを逃すと、次の工程までに余計な調整が必要になったり、仕上がりに影響が出たりすることがあります。
そのため、大雪だからといって制作を止めてしまうことはできませんでした。
特に今回は、チェスナット、モンキーポッド、ポプラ、ブラックウォルナットと複数の樹種のレジンテーブルが同時進行しており、それぞれの状態を確認しながら作業を進める必要がありました。

山麓線の通行止めが教えてくれた現場の覚悟

御所市のアトリエに向かう途中、山麓線が大雪で通行止めになっていることが分かりました。
やむなく迂回路を選びましたが、交通量が少ない道には雪が残り、路面は完全にアイスバーンの状態でした。

大雪で白く覆われた山麓の道路を、車内から撮影したアトリエへ向かう道中の風景。
山麓線が通行止めで迂回し、交通量の少ない道はアイスバーン。たどり着くまでが制作の一部みたいな日でした。

慎重に車を進めながら、「今日は本当に作業できるだろうか」と何度も頭をよぎりました。
それでも、何とか無事にアトリエへ到着できた時には、ほっとした気持ちと同時に「ここまで来たからには丁寧にやり切ろう」という覚悟が固まりました。
こうした状況でも現場に立つことが、オーダー制作に向き合う姿勢そのものだと考えています。

冬のレジン制作で最も重要な室温管理

石油ストーブでゆっくり室内を温める理由

アトリエに到着してまず行ったのは、石油ストーブで室内を温めることでした。
冬場のレジン制作では、室温が低すぎると硬化不良や気泡の発生、流動性の低下など、さまざまなトラブルが起こります。

御所市のアトリエ内で、木枠に入ったレジンテーブル用の型や一枚板が並び、制作が同時進行している作業風景。
チェスナット、モンキーポッド、ケヤキの看板、そして新規のブラックウォルナット。
段取りが増えるほど、温度管理と硬化タイミングの読みが重要になります。

急激に温度を上げるのではなく、ゆっくりと室温を安定させることで、レジンの状態をコントロールしやすくなります。この「待つ時間」も、作品づくりの大切な工程のひとつです。

レジンの状態を見ながら進める慎重な作業

室温が上がってきたからといって、すぐに作業に取りかかるわけではありません。
レジン自体の粘度や温度、透明度を確認しながら、今どの工程に進めるべきかを判断します。

低温のアトリエで、電動ミキサーを使って透明レジンを慎重に撹拌している様子。
冬場は温度で粘度も反応も変わるため、混ぜ方ひとつで仕上がりが変わります。気泡と硬化のバランスを見ながら、いつもより丁寧に攪拌します。

冬のレジンは反応がゆっくりな分、焦って作業を進めると取り返しのつかない失敗につながります。そのため、この日はいつも以上に「急がないこと」を意識して作業を進めました。
結果的に作業量は多くても、ひとつひとつの工程に集中できる一日になりました。

複数のレジンテーブルを同時に進める現場

チェスナットとモンキーポッドへの追加レジン作業

この日は、チェスナットとモンキーポッドのレジンテーブルに対して、少しずつレジンを足す工程を行いました。

一度に流し込まず、層を重ねていくことで、内部に気泡が閉じ込められるのを防ぎます。
特にチェスナットは木の表情が強く、耳付きの部分から気泡が出やすいため、状態を見ながら慎重に進めました。

モンキーポッドも同様に、木の動きを読みながらレジンの量を調整しています。
この地味な作業の積み重ねが、最終的な透明感と耐久性につながります。

ケヤキの看板制作にも同時対応

レジンテーブルだけでなく、ケヤキの看板制作も同時に進めました。
看板用のレジンは、テーブルとはまた違った見え方や厚みの考え方が必要になります。
屋外で使われることを想定し、耐候性や仕上がりの表情を意識しながら、こちらも少しずつレジンを足していきました。

木枠の中で、ケヤキの木材に沿うように透明レジンの層を作り、表面が濡れたように光っているクローズアップ。
フルカバーは「一気に流して終わり」ではありません。
ベース層を整えて、木の吸い込みや浮き、気泡の出方を見ながら次の層へつなげます。

複数の作品を同時に進める日は、頭の切り替えが重要になりますが、その分経験値も大きく積み上がります。

フルカバー仕様と新規オーダーへの対応

ポプラのフルカバーレジンテーブル下地づくり

フルカバーでご発注いただいているポプラのレジンテーブルについては、ベースとなるレジン層を作る工程を進めました。
フルカバー仕様は、表面まで完全にレジンで覆うため、下地の精度が仕上がりを大きく左右します。この段階でムラがあると、後の研磨や仕上げに影響が出てしまいます。
そのため、温度とレジンの流れを確認しながら、時間をかけてベース層を作りました。
派手さはありませんが、非常に重要な工程です。

ブラックウォルナットの木枠制作

新たにご発注いただいたブラックウォルナットのレジンテーブル用に、木枠の制作も行いました。
木枠は単なる型ではなく、完成後の寸法精度やレジンの収まりを左右する重要な要素です。
特にブラックウォルナットは色味が濃く、レジンとのコントラストが強いため、枠の精度がそのまま仕上がりに表れます。
この段階で手を抜くことはできません。
丁寧に寸法を確認しながら、次の工程につなげました。

冬だからこそ守る制作のペース

寒い季節は硬化に時間がかかる

冬場のレジン制作では、どうしても硬化に時間がかかります。
「早く次の工程に進みたい」と思うこともありますが、焦って温度を上げたり、無理に作業を進めると、後戻りできない不具合が起こります。
そのため、この時期は意識的にペースを落とし、レジンと木の状態を優先します。
結果として、完成までの時間はかかりますが、その分、仕上がりの安定感は高くなります。

丁寧に作ることが最終的な品質につながる

一見すると非効率に見えるかもしれませんが、レジンテーブルは「急がないこと」が最大の近道です。ひとつひとつの工程を丁寧に積み重ねることで、完成後のトラブルを防ぎ、長く使える作品になります。
寒い季節の制作は大変ですが、その分、技術と判断力が試される時期でもあります。
だからこそ、時間をかけて、納得のいくものづくりを続けています。

よくある質問

Q
冬でもレジンテーブルの制作はできますか
A

はい、制作は可能です。ただし室温管理や工程管理が重要になります。適切な環境を整え、無理をしないことが前提です。

Q
なぜ一度にレジンを流さないのですか
A

一度に流すと気泡が抜けきらず、内部に閉じ込められる可能性が高くなります。層を重ねることで品質が安定します。

Q
フルカバー仕様は時間がかかりますか
A

はい。下地づくりから仕上げまで工程が多く、通常のリバータイプよりも制作期間は長くなります。

レジンテーブルをオーダーするという選択

天候や季節に左右されながらも、一枚一枚の木と向き合い、状態を見極めて進めるのがオーダーレジンテーブルの制作です。
効率よりも完成後の満足度を優先したい方には、時間をかけた制作こそが最適な選択だと考えています。
制作工程や樹種選びについて不安がある場合は、ぜひ一度ご相談ください。

時間をかけて育てるように仕上げるレジンテーブルに興味がある方は、ぜひお問い合わせください。