レジンテーブル展示会に向けて動き出す12月の準備
手づくり作品たちのお披露目の場
12月12日に兵庫県小野市の小野氏総合体育館「アルゴ」で開催される展示会。


これまでエコロキアのレジンテーブル制作体験ワークショップにご参加いただいた皆さまの作品を展示する予定です。受講者さんたちが自らデザインし、色を選び、時間をかけて仕上げたテーブルたち。そのどれもが唯一無二で、制作者の個性が光る“世界にひとつだけの作品”です。
展示会は、そうした皆さまの努力の結晶を見ていただく場であり、木とレジンの融合が生み出すアートの可能性を感じていただける機会にもなります。
僕も作品を出さなければ
そんな中、ふと思いました。「さすがに僕自身が何も出さないわけにはいかないな」と。
現在、展示品のほとんどはLa Medina Ashiya(ラ・メディナ芦屋)さんに置かせていただいており、常設展示としてお客様にもご覧いただける状態にあるため、持ち出すことは難しい。
オーダー品の製作も詰まっている今、新しい作品をゼロから作る余裕もない…。
そんな状況で工房を見回すと、途中で止まったままのレジンテーブルが4台。そのうちのひとつ、波模様のレジンテーブルがふと目に留まりました。

波模様レジンテーブルの再始動
木枠を外す瞬間の緊張感
今回手を入れたのは、海の波打ち際をイメージしたレジンテーブル。
木枠に囲まれた状態のまま数ヶ月が経っており、レジンの硬化も完全。まずはその木枠を外すところから作業を再開しました。

枠を外すと現れる透明感、深いブルーとホワイトのグラデーション。固まった瞬間に閉じ込められた“波”が再び息を吹き返したように見えます。
この瞬間はいつも緊張します。レジンが割れていないか、気泡が入りすぎていないか、表面が均一に仕上がっているか。数時間にわたる注型作業の結果が一目でわかる工程でもあります。
海の透明感と木の温もりが共演するデザイン
この作品では、波の表情をリアルに再現するためにブルーグリーンとホワイトのレジンを複数層に分けて流し込み、ドライヤーとヒートガンで波紋を描いています。
樹種は杢目が美しいポプラバール(瘤杢)。その有機的な形状が海岸線のように見え、そこにレジンの海を重ねることで、まるで“自然がつくった地形”のような立体感が生まれます。

木と樹脂、それぞれ異なる素材が溶け合うことで、アートと家具の境界を超える存在になる――それがレジンテーブルの魅力です。
制作途中で止まっていた理由と再開のきっかけ
新入社員の研修用として一時ストップ
この波模様テーブル、実は新入社員研修用に途中で作業を止めていた作品でした。
エコロキアでは、スタッフが木材やレジンの特性を理解するために実際に制作を体験する研修を行っています。研磨、整形、着色、気泡処理など、どの工程にも学びが詰まっており、その教材としてこの作品を使おうと思っていたのです、たぶん。
だからこそ、勝手に仕上げてしまうわけにもいかず、途中のまま保管していたというわけです。
展示会という“再開の理由”
しかし12月の展示会が決まり、もう一度完成を目指そうと決意しました。
木枠を外し、丸ノコで四隅を整え、サンディングで表面を研磨し、最終仕上げには鏡面仕上げを予定。波の表情がより立体的に映り込むよう、#4000まで研ぎ上げるつもりです。

この作品が完成すれば、展示会ブースの中央に置くにふさわしい、エコロキアらしい1枚になるはず。
レジンテーブル制作の魅力と難しさ
一発勝負の緊張感
レジンテーブルづくりは、一度レジンを流し込むとやり直しがきかない“一発勝負”。
温度や湿度、混合比率、着色剤の量など、ほんの少しの違いが作品全体の印象を大きく変えます。特に波模様はタイミングが命。遅すぎれば白がにじみ、早すぎれば泡立つ。まるで生き物を扱うような感覚です。
でもその分、成功したときの感動は格別。固まった瞬間に見せるレジンの透明感は、まるで水面を切り取ったように美しく、木目とのコントラストが際立ちます。
木の表情を引き立てるレジンの力
天然木は二つとして同じものがありません。その個性をどう活かすかが、制作者のセンスの見せどころです。波のデザインを作る際も、木の形を見ながら「どこに海を流すか」「どの方向から光を入れるか」を決めていきます。
レジンはただの透明な樹脂ではなく、木の魅力を際立たせるための“光の演出装置”。この考え方が、エコロキアのレジンテーブル制作の基本にあります。
展示会に向けて、木とレジンの物語をつなぐ
完成まであと少し
波模様のテーブルは、現在磨きの手前まで完成しています。
表面の泡の除去、細かなバリ取りや角の面取りを終えたら、いよいよ最終研磨へ。
鏡のように磨き上げた天板は、見る角度によって波が動いて見える不思議な立体感を生みます。展示会ではそのリアルな“海”をぜひ間近で見ていただきたいと思っています。
作品の向こうにある体験の価値
今回の展示会は、単なる作品展ではありません。
これまで体験会に参加してくださった皆さまの“手の記憶”が集まる場所です。木を選び、レジンを流し、磨き上げる過程は、それぞれの物語を刻んでいます。
僕自身、この波模様テーブルを通じて、再び“つくることの喜び”を思い出しました。
12月、ぜひその空気を感じに来てください。


