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足し算しないレジンテーブルという選択。トチノキの形をそのまま使うという考え方

リビング空間に設置されたトチノキのレジンテーブル。ソファ前に配置され、ブルーのレジンが控えめに映える。 コラム
実際に使われる空間に置くと、レジンの主張は控えめで、木のやわらかな表情が際立ちます。空間に自然に溶け込みながら、しっかりと個性を残す一台です。

トチノキという素材をどう扱うかを考える

形がすでに完成している一枚板だった

今回使ったトチノキの一枚板は、輪郭や厚みのばらつき、木目の流れにすでに強い個性がありました。加工をしなくても成立しそうだと感じる一方で、どこまで手を加えるべきかを慎重に考える必要がある素材でもありました。

木の形そのものに魅力がある場合、デザインを足すほど良さがぼやけてしまうことがあります。
この一枚は、まさにそのタイプでした。

レジンテーブルにしないという選択肢もあった

正直に言うと、このトチノキはレジンを使わずに仕上げる選択肢もありました。
ただ割れや僅かな凹みがあり、使用環境を考えるとそのまま残すのは現実的ではありませんでした。

完全に消すのではなく、必要な部分だけを補う。
その落とし所として、レジンを使うという判断にしています。

レジンを主役にしないという前提

レジンの量を最初から決めなかった理由

今回のレジンテーブルでは、どれくらいレジンを使うかを最初に決めていません。
実際に木を見ながら、必要な量を探っていく進め方をしています。

レジンは入れすぎると、それだけで印象が決まってしまいます。
木を引き立てるための補助であることを忘れないようにしました。

色も存在感を抑える方向で考えた

選んだのは、強すぎないブルーのレジンです。
光の当たり方で表情が変わる程度に抑え、遠目ではほとんど主張しない色合いを意識しています。

トチノキの割れとくぼみにブルーのレジンが溜まり、まだ硬化前の状態。
硬化前のレジンは流動性が高く、木の状態がそのまま表れます。
この時点で、仕上がりの表情がほぼ決まります。

レジンが目に入るよりも、木の形が先に目に入る。
その順番を崩さないことが大切だと感じています。

割れやくぼみをどう残すかという判断

すべてを埋めないという考え方

トチノキは乾燥や経年で割れが出やすい樹種です。
ただ、すべての割れを消す必要があるとは限りません。

構造的に問題のある部分だけを補修し、問題のない割れや表情はそのまま残しています。
それが結果的に、この木らしさを強く残すことにつながりました。

割れは欠点ではなく情報でもある

割れや凹みは、木が育ってきた過程の記録でもあります。
完全に消してしまうと、その情報ごと失われてしまいます。

トチノキの木目とブルーのレジンが自然につながる割れ部分のクローズアップ。
レジンを控えめにすることで、トチノキ特有のやわらかな木目や色の揺らぎがよりはっきりと感じられます。

どこを残し、どこを補うか。
その判断が、このテーブルの印象を大きく左右します。

レジンを流す前の工程が一番重要になる

下地処理で仕上がりの大半が決まる

レジンを流す前に、割れの内部をノミで整えます。
脆くなった部分を取り除き、レジンがきれいに定着する形をつくります。

トチノキの割れ部分をノミで整え、レジンを流し込む前の下地処理を行っている様子。
レジンを流す前に、割れやくぼみの形を丁寧に整えます。
この工程を省くと、仕上がりの透明感や木とのなじみ方に差が出てきます。

この工程を省くと、硬化後にレジンだけが浮いて見える原因になります。
目立たない作業ですが、完成度に直結する工程です。

派手さはないが省略できない作業

レジンを流す瞬間はどうしても注目されがちですが、その前段階の積み重ねが重要です。
ここを丁寧に行うことで、最小限のレジンでも成立します。

結果として、レジンの量を抑えることができます。

必要なところにだけレジンを流す

少量ずつ様子を見ながら進める

レジンは一気に流し込まず、少量ずつ入れていきます。
木とのバランスを見ながら調整し、足りない部分だけを補います。

トチノキの割れ部分にブルーのレジンを少量ずつ流し込んでいる工程写真。
全面を覆うのではなく、必要な部分にだけレジンを流します。
木を補うためのレジンであり、主役になりすぎない量を意識しています。

流した直後の状態で、仕上がりの方向性はほぼ決まります。
この時点で違和感がある場合は、やり直す判断も必要です。

木の流れを止めないことを優先する

意識しているのは、木目や割れの流れを途中で断ち切らないことです。
レジンで線を描くのではなく、木の動きをなぞる感覚です。

その結果、レジンがあることに気づかない人もいます。
それくらいの存在感が、このテーブルには合っていると感じました。

硬化後に見えてくる仕上がりの質

木とレジンの境界が自然につながるか

硬化後に確認するのは、木とレジンの境界です。
段差や不自然なラインがあると、後工程で修正するのは難しくなります。

作業台の上で仕上げ前のトチノキのレジンテーブル全体を確認している様子。
部分だけを見るのではなく、テーブル全体としてどう見えるかを何度も確認します。引き算のデザインほど、全体バランスが重要になります。

今回は、木の動きに沿う形でレジンが残りました。
割れを補っているのに、割れそのものは消えていない状態です。

均一さよりも自然さを優先した仕上げ

完全にフラットで均一な仕上がりではありません。
ただ、このトチノキにはその方が合っていると感じました。

自然な揺らぎが残ることで、素材の存在感が失われません。

実際の空間に置いたときの印象

遠目では木のテーブルとして見える

リビング空間に置くと、レジンの存在感はかなり控えめです。
ぱっと見では、一枚板の木のテーブルとして認識されます。

主張しすぎないことで、空間に馴染みやすくなります。

近づくと気づく小さなアクセント

近くで見ると、割れの中にわずかにブルーが残っていることに気づきます。
そのさりげなさが、このテーブルの個性です。

トチノキの一枚板を用いた引き算デザインのレジンテーブルの全体像。割れとくぼみ部分のみにブルーのレジンを使用している。
トチノキの自然な輪郭をほとんど削らず、必要最低限のレジンだけで仕上げたレジンテーブルです。木の存在感が主役になるよう、あえて足し算をしないデザインにしています。

主張しないが、確かに他とは違う。
そのバランスを目指しました。

引き算したからこそ残ったもの

足さなかったことで見えてきた魅力

レジンを足せば、もっと分かりやすいデザインにはできます。
ただ、それはこのトチノキにとって最適とは限りませんでした。

足さない選択をしたことで、木の形や表情がよりはっきり見えるようになりました。

すべてのレジンテーブルに向く考え方ではない

この方法が、すべてのレジンテーブルに合うわけではありません。
派手な表現を求める場合には、別のアプローチが向いています。

今回は、このトチノキに合わせた選択です。

よくある質問

Q
レジンを少なくすると耐久性は落ちませんか
A

割れの構造的な部分はきちんと補修しています。見た目だけでなく、使用に支障が出ないことを前提にしています。

Q
割れを残すと将来的に広がりませんか
A

木の状態を見極めた上で判断しています。必要な部分だけを補っているため、無理に広がるリスクは抑えられています。

Q
全面レジン仕上げとの違いは何ですか
A

見た目のインパクトよりも、木そのものの存在感を優先しています。触れたときの質感や経年変化も異なります。

Q
色付きレジンでも黄変しますか
A

使用するレジンや環境によりますが、時間とともに変化はあります。その変化も含めて素材として捉えています。

Q
同じような仕上げを指定することはできますか
A

考え方としては可能ですが、木の状態によって判断は変わります。完全な再現はできません。