移転作業で見つかったもの
アトリエの移転作業をしていると、思いもよらないものがたくさん出てきます。工具や治具、古い図面もそうですが、今回特に多かったのが作りかけのレジンテーブルでした。
完成品として展示されることもなく、販売されることもなく、棚の奥で静かに眠っていたものたちです。
練習だからこそ残っている
技術を試した作品
レジンテーブルを作り始めた頃は、とにかく色々なことを試していました。透明度はどう変わるのか。顔料の量でどう見え方が変わるのか。木とレジンの境界はどこまで自然に見せられるのか。
完成品を作るためというより、自分たちの技術を確認するための作品です。
失敗もそのまま残る
当然ですが、思ったようにいかないこともあります。

色が濃すぎたもの。気泡が想定より多く入ったもの。デザインとして何かが違うと感じたもの。商品にはならなくても、その失敗が今の技術につながっています。
余り物から生まれたテーブル
一枚板の端材
レジンテーブルを作っていると、どうしても端材が出ます。
普通なら捨てられてしまうような小さな材料でも、「何か面白いものが作れるかもしれない」と保管してしまいます。その結果として生まれたのが、今回出てきた小さな円形テーブルや試作品たちです。
木の形が面白かった
採算を考えるなら作らなかったかもしれません。でも木の形を見ていると、「この輪郭を活かしたらどうなるだろう」と手を動かしてしまいます。
天然木を扱う人には少し分かっていただける感覚かもしれません。
完成しない理由
仕事が優先になる
正直なところ、一番の理由は時間です。お客様のオーダー品を優先していると、試作品はどうしても後回しになります。
型から外したところで止まっているもの。荒削りのまま積まれているもの。磨きの途中で保管されているもの。気が付けばそんな作品が増えていました。
完成形が見えなくなる
作り始めた時は鮮明だったイメージも、数ヶ月経つと分からなくなることがあります。
なぜこの色を選んだのか。どんな脚を付ける予定だったのか。未完成の作品には、過去の自分との会話が残っています。
レジンテーブルは完成してからが作品ではない
木もレジンも途中の姿がある
写真の作品もまだ途中です。表面には研磨跡があり、艶も出ていません。それでもレジンが流れ込み、木目が浮かび上がった瞬間には既に独特の存在感があります。
制作過程に人が残る
工業製品は完成品だけが評価されます。でもレジンテーブルは少し違います。
どこで悩んだのか。
何度色を作り直したのか。
なぜその木を選んだのか。
制作過程そのものが作品の一部になっているように感じます。
少しずつ仕上げていこうと思います
今回の移転で改めて感じたのは、未完成のまま置いておくのは少しもったいないということでした。もちろん全てが商品になるわけではありません。
中には展示用になるものもあるでしょうし、技術サンプルとして残すものもあると思います。それでもせっかく木とレジンが出会ったのだから、最後まで形にしてあげたいと思っています。
完成品だけを見るとレジンテーブルは華やかに見えます。
でも実際の工房には、こうした途中の作品がたくさんあります。
完成した作品だけでなく、まだ名前も付いていない作品たちにも、それぞれの時間が流れているのです。
よくある質問
- Qレジンテーブルの試作品は販売されることがありますか?
- A
あります。ただし全てではありません。
試作品の中には色やデザインの検証を目的として制作したものもあり、商品化を前提としていないものもあります。一方で仕上げることで十分魅力的な作品になるものもあります。そうした作品は展示品やアウトレット品としてご案内することがあります。完成品とは違った一点物の魅力があるため、意外と人気があることも少なくありません。
- Qなぜ途中で制作が止まってしまうのでしょうか?
- A
最も大きな理由はオーダー品を優先するためです。
レジンテーブルは完成までに何度も工程があり、その間にも新しいご依頼が入ります。試作品は納期がないため後回しになりやすく、結果として未完成のまま保管されてしまうことがあります。また時間が経つことで当初のデザインイメージが変わり、一度立ち止まって考え直すこともあります。天然木と向き合う仕事では、意外とよくあることです。
- Q余り材で作ったレジンテーブルでも品質は同じですか?
- A
品質そのものに違いはありません。
使用するレジンや加工方法は通常の作品と同じです。ただしサイズや形状は材料に左右されます。そのため既製品のような均一さを求める方には向かないかもしれません。一方で天然木の個性や偶然性を楽しみたい方にとっては、むしろ余り材から生まれた作品の方が魅力的に映ることもあります。


