木とレジンで空間を彩るということ
「空間にちょっとした彩りを添えたい」。
そんな想いから、木とレジンを組み合わせた棚板のオーダーをいただくことが増えてきました。今回は、あるカフェオーナー様からのご依頼で、店内に飾るための棚板を2枚、特注で製作いたしました。
ご希望は「赤茶けた雰囲気のある木と、透明感のあるオレンジレジンを使って、印象的な棚にしたい」とのこと。カフェの落ち着いた空間に映える、鮮やかでありながら温かみのある仕上がりを目指して、制作がスタートしました。
素材選びから始まる、世界にひとつの棚づくり
花梨という選択
今回チョイスしたのは、赤褐色の美しい杢目が特徴的な「花梨(カリン)」。硬く重厚感のある木材で、古くから家具や工芸品にも使われてきた樹種です。その表情豊かな木肌と、オレンジレジンとの相性は抜群。

木材の表情そのものがデザインになるため、使う部位をじっくり吟味しながら、2枚分の板材を選定しました。
型枠とレジン、そして「時間」の設計
静かにレジンを流し込む
今回は鮮やかなオレンジ色のレジンを使用。透明度を活かしつつ、鮮やかに発色する顔料を調合し、いよいよ型枠へ注入。レジンを流し込む瞬間は、いつも心が静かになります。木の自然なカーブに沿って、オレンジのレジンがじわりと満たしていく光景は、まるで風景画が生まれるような感覚です。
気泡は一つずつ、バーナーで消して

注入後は表面に出てくる気泡をバーナーで丁寧に除去。一つひとつ手作業で消していきながら、素材が持つ表情を最大限引き出していきます。この工程を怠ると、仕上がりに濁りが出てしまうため、地味ですがとても大事な作業です。
硬化には1週間。急がず、慌てず
エポキシレジンは、じっくり時間をかけて硬化させるほど透明度が高まり、強度も安定します。今回はしっかりと時間を確保し、気温と湿度を調整しながら1週間の硬化期間を設けました。
この間は何も手を加えず、ただただ静かに固まっていくのを待ちます。自然の力と化学反応が交差するこの時間は、まるで木とレジンが新たな命を宿す準備をしているかのようです。
来週はいよいよ仕上げ作業へ
現在は無事に硬化を終え、型枠の中でピタリと落ち着いた状態です。来週はいよいよカットと研磨の工程に入ります。
棚板として使いやすいサイズに正確に切り出し、何段階にも分けて研磨を重ね、最後はピカピカの鏡面仕上げへ。オレンジレジンの透明感がより際立ち、花梨の杢目も深みを増してくるはずです。
空間に彩りと物語を
棚板は単なる“物を置くための板”ではなく、空間の印象を決める重要な要素です。そこに天然木の豊かな表情と、レジンの遊び心を組み合わせることで、唯一無二の存在感が生まれます。今回のように、設置する場所や用途、好みの色合いに合わせてご相談いただければ、木の選定からデザインまで、一貫してお手伝いさせていただきます。
エコロキアのオーダーメイド、承ります
今回のようなレジンを使ったオーダー棚板はもちろん、レジンテーブルやカウンター天板、装飾パネルなどの特注製作も随時承っております。木材在庫やレジンカラーのご相談は、奈良県御所市のアトリエまたは神戸市東灘区の本社にてご案内可能です。ご来場の際は事前にご予約ください。
手をかけるという贅沢
量産品では味わえない、「素材を選び、手をかけて、形にする」贅沢。それはエコロキアが大切にしている価値観でもあります。あなたの空間にも、少しだけ“無垢の贅沢”を取り入れてみませんか?