歴史を感じさせる木材を、レジンで封じ込めて
今回ご紹介するのは、見る者の心を静かに揺さぶるような一点もののレジンテーブル。
売約済みではありますが、この作品が生まれた背景やデザインの意図を、ぜひお伝えさせてください。
テーブルに用いた木材は、長年自然の中で風雨にさらされ、虫食い痕やひび割れを抱えながら、なおその存在感を失わない素材です。その表情は、まるでイタリア・ヴェネツィアの運河に立つ杭材「bricola(ブリコラ)」を彷彿とさせるもの。実際にはbricola材ではないものの、bricolaが持つ“時間の痕跡を纏った木の美”という哲学に深く共鳴し、それを私たちなりの表現でテーブルという形に昇華させました。
bricolaとは何か?──海に磨かれた木の記憶
ヴェネツィアのラグーンには、航路を示すために無数の木の杭が打たれています。それが「bricola(ブリコラ)」です。潮の干満に耐え、海洋生物に削られながらも、数十年の時を経て独自の風合いと生命力を宿すこの木材は、使い終わった後も高級家具の素材やアート作品のマテリアルとして再評価されています。

今回の作品は、このbricolaのように「時の重み」を感じさせる虫食い痕のある木材に、透明度の高いエポキシレジンを組み合わせることで、自然と人の手が融合した作品へと仕上げました。
デザインコンセプト:虫食い痕は「欠点」ではなく「物語」
表面に無数に現れた虫食い痕は、従来であれば木材として敬遠されるポイントかもしれません。しかし私たちは、そこにこそ唯一無二の個性と物語性が宿っていると捉えています。
このテーブルでは、あえてその痕跡をレジンの中に閉じ込めることで、光を受けてキラキラと輝く天然の模様として表現。まるで自然が何十年もかけて描いた抽象画を、そのまま家具として切り取ったかのような、美しく静謐な印象を与えます。
中央にはアクアブルーのレジンが川のように流れ、両側に虫食い材が橋のようにレイアウトされています。これにより、視覚的な奥行きと静かな動きを感じさせるデザインとなっています。
アート作品としての家具
このレジンテーブルは、単なる家具ではありません。空間を彩るアートピースであり、そこに置くだけで雰囲気が変わるような、圧倒的な存在感を放つ作品です。

木材の選定から加工、レジンの色味や透明度、気泡のコントロールに至るまで、細部にこだわりを詰め込んで仕上げました。
完成までにかかる時間は長く、手間もかかります。しかしそれこそが、エコロキアが大切にしている「不便を楽しむ」という精神そのものです。
あなたの思い出の木も、テーブルになります
今回ご紹介したテーブルはすでにご成約済ですが、エコロキアでは同様のレジンテーブルのフルオーダー制作や、素材持ち込みによる制作体験ワークショップも行っております。
- 旧家の柱材や古民家の欄間
- 思い出の家具の一部
- 朽ちかけた流木や虫食い材
こうした「ふつうなら捨てられてしまう木材」を使って、新しいかたちの家具として生まれ変わらせてみませんか?
まとめ:時と自然が描いた模様を、暮らしの中へ
bricolaのように、年月を重ねて得た風合いは、どんな塗装でも再現できません。
そしてそれをどう受け取り、どう表現するかは作り手次第です。
このレジンテーブルは、bricolaにインスパイアされたオリジナル作品であり、自然の痕跡を誇りと美しさとして昇華させた一点もの。
私たちエコロキアは、これからもこのような「物語のある家具」を、あなたの暮らしの中へお届けしていきます。