前回の作業を振り返って
エコロキアの工房で行われるレジンテーブル制作体験ワークショップ。様々なデザインのレジンテーブルが生まれていますがその中でも特に注目の作品が「欄間(らんま)」を使ったレジンテーブルです。日本家屋に使われていた繊細な格子の意匠を活かし、それを大胆にレジンに閉じ込めて新しい命を吹き込むという、他にはないユニークな発想です。
前回は、木材の配置と型枠の設置を行い、レジンの第一層を流し込みました。使用したレジンは透明度の高いエポキシ系で、古材の趣ある質感とレジンの艶感が相まって、すでに美しい表情を見せ始めていました。半分ほどまで注いだ段階で一旦硬化を待ち、今回はその続きからの作業となります。
表面ギリギリまで流し込む
注ぎの緊張感と集中力
今回のメイン作業は、表面ギリギリのラインまでレジンを注ぎ込む工程です。ここが最も緊張するポイントでもあります。注ぎすぎてしまえばあふれてしまいますし、少なければ後から継ぎ足す必要があります。流し込むレジンの粘度、気泡の処理、周囲の温度と湿度など、すべてが仕上がりに影響するため、集中力と経験が求められます。

参加者の柳さんご夫妻も、真剣な面持ちで注ぎ作業に取り組まれていました。「こんなに神経使うとは思わなかったけど楽しい!」と笑顔で作業をして、欄間の細工にレジンがじわじわと染み込み、奥行きのある透明感を生み出していく様子は、まるでアート作品の仕上げを見ているかのようでした。
色や濁りの確認も重要
今回のレジンは透明なクリアタイプですが、注入直後の段階では多少の濁りが残ることがあります。これはレジン内の微細な気泡や、表面に付着した油分、水分などが原因で、乾燥とともに抜けていくことがほとんどです。

それでも、注入の最中には「どの角度から見ても美しい仕上がりになるか?」という視点で、光の加減や奥行きを確認する必要があります。欄間の陰影がくっきりとレジンに浮かび上がってくる瞬間は、まさに感動の一言。
今後の作業工程について
レジンをさらに継ぎ足すか?研磨に入るか?
次回の作業では、現在の状態を見極めて「もう少しだけレジンを継ぎ足す」か、「型枠を外して裏面を研磨に入る」かを判断します。どちらの選択肢にもメリットがあります。
もし継ぎ足す場合、表面に少し厚みを持たせて、より艶やかで深みのある仕上がりが可能になります。一方で、現時点で十分な厚みがある場合は、早めに型枠を外し、裏面のバリ取りや研磨に移ることも可能です。
裏面研磨では、型枠に接していた面の段差やザラつきを滑らかに整え、必要に応じて角を面取りするなど、使い心地を左右する仕上げを行います。
完成までもう少し!レジンテーブルの可能性
今回使用している欄間は、戦前の古民家で使用されていたもの。時代を超えて受け継がれてきた木工の技巧が、現代のレジン技術と融合することで、まったく新しいインテリアに生まれ変わろうとしています。

レジンテーブルというと、天然木の一枚板を使ったものが一般的ですが、このように和の要素を取り入れることで、和モダン、アジアン、インダストリアルなど幅広いテイストにマッチする家具が生まれるのです。
制作体験は「不便を楽しむ」贅沢な時間
エコロキアのレジンテーブル制作体験では、参加者自らの手で木を選び、レジンの色を決め、磨き上げて仕上げるプロセスを大切にしています。これは単なる「家具作り」ではなく、「手をかけて作ることで生まれる愛着」と「自分だけの物語を刻む時間」でもあります。
今回も、参加された方が「この欄間、祖父の家で見たような気がする」と懐かしそうに話されていたのが印象的でした。古材とレジンが織りなすアートは、きっと日々の暮らしに彩りを添えてくれるはずです。
次回のレポートもお楽しみに!
乾燥・硬化には気温や湿度によって差が出るため、数日〜1週間の養生期間を置いてから、次の作業に入ります。次回は、最終仕上げに向けての重要な判断が待っています。継ぎ足しか、研磨か——どちらにしても、完成に向けた大切な一歩。
完成すれば、唯一無二の「欄間レジンテーブル」が誕生します。その過程をまたこのブログでご紹介いたしますので、どうぞお楽しみに。